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敷金・保証金|不動産問題

弁護士がまとめた「敷金・保証金」のQ&Aです。

Q 敷金、保証金とは何ですか?

敷金とは、アパートなどの賃貸借契約において、借主の賃料不払い、原状回復義務等の担保のために、予め、借主が差し入れる金銭です。
保証金とは、敷金のことを指すことが多いですが、ケースによってその他のことを指すこともあります。

賃貸借契約においては、さまざまな用語が出てきます。たとえば、敷金、保証金以外にも、礼金、権利金、一時金、更新料などです。ですが、その実質的な意味を押さえることが大事です。

借主の義務を「担保」するためのものであれば、敷金に該当します。そして、敷金に該当すれば、原状回復義務等の後には、一部が返還されます。敷金は、一旦、預けているだけのお金ですので、後日、清算が済めば返還されるのは当然です。

Q 敷金・保証金はいつ戻ってきますか?

賃貸借契約が終了し、アパートなどを、明け渡した時に戻ってきます。
アパートなどの明け渡しまで、家賃等が発生するところ、アパート明け渡しまでの家賃を担保する必要があるからです。

たとえば、次のような手順が行われています。
荷物などの引越しを終えた後(明け渡し後)、空き家となったアパートで家主と立会を行ないます。立会で、アパートの傷、汚れなどを確認します。後日、家主が原状回復のための費用を差し引いた金額を入金するという流れになります。また、その際、原状回復のための費用の明細が借主に交付されます。

Q 敷金・保証金は、どの程度もどってきますか?

敷金が、どの程度戻ってくるかは、①差し入れた敷金の金額、②アパート等の使用状況、③その他の事情によって異なります。

まず、①差し入れた敷金の金額ですが、最初の契約書に金額が書かれていると思います。敷金の金額は、地域によっても異なりますが、家賃の2、3か月分を差し入れることが多くあります。
たとえば、家賃7万円のアパートであれば、21万円前後となります。

次に、②アパート等の使用状況ですが、借りている期間、汚れ・棄損の有無、程度が考慮されます。
ここで、大事な考え方は、通常損耗等の復旧は貸主が行うことが基本であることです。
なぜなら、賃貸している建物は、時の経過によって減価せざるを得ず、賃貸人は、その減価分を賃料収入で得るものと考えられるからです。

そのため、たとえば、クロス張り替え費用、畳表替え費用などは、通常損耗等の復旧として貸主負担となる裁判例が多くあります。

③その他の事情ですが、たとえば、家賃の滞納があれば、当然、家賃滞納を差し引いた金額しか戻ってきません。

Q 通常損耗等ではない場合は、どうなりますか?

通常損耗等ではないケース、たとえば、借りた人の故意・過失によって生じた損耗等であっても、必ずしも、賃借人が費用を全額負担するという訳ではありません

アパート、アパート内の洗面台、建具等は、経年劣化等で価値は減るうえ、また、通常損耗等によっても価値は減ります。
したがって、仮に、借主の故意・過失によって建具等を棄損しても、原則、残存価額の弁償になります。つまり、借主が、建具等を賃貸開始時の状態に戻すまでの義務はないと考えられます。

特に、使用期間が長期であれば、たとえ故意・過失で壊しても、残存価額がない、又は乏しい場合があります。