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境界問題|不動産問題

不動産の「境界問題」に関するQ&Aを弁護士がまとめました。

Q 境界問題とはどのようなものですか?

境界問題とは、土地の境界線が不明確な場合などにおいて起こる、境界線をめぐるトラブルのことを言います。

境界線ですが、数センチ程度の違いであっても、地価が高価な都心等では小さな問題ではありません。都心等でなくとも、境界線をめぐって、隣地の所有者との感情面での対立が出てこれば、マイナスなことが多いでしょう。
また、境界線がどこかによって、隣地との境の塀の所有関係も変わってくるケースもあります。
そのため、境界問題を小さな問題ととらえず、適切な手続で解決することをお勧めします。

なお、境界問題を放置すればするほど、証拠も権利関係も複雑になることがあります。たとえば、土地の所有者が亡くなれば、境界に関する証拠が乏しくなることもあります。また、土地が、相続又は売買、分筆等されると、新しい権利関係のもとでトラブルになったりすることもあります。

Q なぜ、境界線が問題になるのですか?

境界線が問題になる理由ですが、おおむね、次のようなものになります。

たとえば、地積測量図・公図などの図面が大雑把であったり、境界標(杭、境界鋲など)などがなかったりすると、どうしても境界線が明確には分かりません。
また、そもそも、土地の購入時、分筆時に、だいたいのところでしか境界を決めていなかったりすることもあります。

以上のような事情で、境界線が不明確になりことがあります。そして、隣地の所有者との関係が希薄であったりすると、交渉によって解決することも難しく、境界線のトラブルとなることがあります。

Q 境界問題の解決手続のうち、当事者の話合いによる手続は?

当事者の話合いによる手続ですが、①交渉によって合意する、②ADRなど裁判外の紛争処理機関を利用するという方法があります。

まず、①交渉によって合意するケースですが、弁護士、及び、土地家屋調査士に依頼するのをお勧めします。
土地家屋調査士でなければ、図面、現況、面積の測量などによって合理的な境界線を提案するのは難しいでしょう。

また、合理的な境界線を隣地の所有者に納得してもらうためには、交渉が必要となりますが、弁護士法上、弁護士でなければ交渉ができません。また、法律的に問題がない形式で合意書等を作成するのも弁護士の仕事です。さらに、境界問題は氷山の一角であり、その他のトラブルの根本的解決も、弁護士ならではの仕事になります。

次に、②裁判外の紛争処理機関としては、たとえば、境界問題相談センターの利用が考えられます。境界問題相談センターは、47都道府県にありますので、身近な制度です。
当事者同士で話合いを行ないますが、話合いにあたって、弁護士と土地家屋調査士の協力を得ることができます。2つの専門家からの専門的な見解を得ることができるため、合理的な解決が可能となる手続となります。

Q 境界問題の解決手続のうち、当事者の話合い以外による手続は?

当事者の話合い以外による手続ですが、③境界確定訴訟、④筆界特定制度があります。

まず、③境界確定訴訟は、裁判所が境界を判断する手続になります。手続としては最終的なものになり、結果が出ればくつがえすことはできなくなります。ただし、境界確定訴訟は、時間がかかるなどデメリットもあります。
特に、境界が複雑で、隣地に接する当事者が複数いる場合などには、なかなか手続が進まないというジレンマを覚えることもあります。

次に、④筆界特定制度の利用があります。筆界特定制度は、裁判所ではなく、行政庁が筆界を判断するものです。
筆界特定登記官が、現地における土地の筆界を特定しますが、筆界調査委員の専門的な意見も反映され、合理的な判断となります。
また、裁判手続と異なり、対立当事者という構造がありません。そのため、今後も続く隣人という間柄を考えると、利用しやすい手続になります。