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仲介業者の問題|不動産問題

不動産の「仲介業者の問題」に関するQ&Aを弁護士がまとめました。

Q 不動産の仲介業者とは?

仲介業者とは、不動産の売買・賃貸借について、代理・媒介(仲立ち)をする業務を行なう者を言います。
また、仲介業者は、法律上、宅地建物取引業者(宅地建物取引法2条2号)のことを指します。
例えば、駅前などの町の不動産屋も、この宅地建物取引業者になります。

Q 仲介業者の必要性は?

不動産取引は、高額な取引になるところ、不動産には公法上の規制があるうえ、専門的な知識・調査能力がなければ、不動産の権利関係等を把握することは難しいものです。

そこで、不動産取引にかかわるトラブル、売主・買主の不測の損害発生を予防するために、法律上、宅地建物取引業者の免許制が定められています。
宅地建物取引業者の免許制によって、最低限の仲介業者の質の確保がなされています。

また、仲介業者が、専門的な知識の取得、経験の蓄積等によって、より良い仲介サービスを実施し、不動産取引が円滑になされているケースも多くあります。

Q 仲介業者とのトラブルの解決方法は?

仲介業者とのトラブルの解決方法ですが、①仲介業者と直接話し合う、②苦情処理機関・相談機関を利用する、③弁護士に依頼して交渉、裁判を行なうなどがあります。

前述のように、不動産取引は専門的な知識・調査能力が必要になります。仲介業者は、そのような能力等を備えていますので、仮にミスがあったとしても、責任を追及するには、こちらも専門的な知識等の補充が必要となります。

したがって、誠実な仲介業者のケースであれば直接話し合うことは有益ですが、そうでなければ、納得がいかない説明を受けるだけになってしまいます。

そのため、同じく、専門性を持った宅地建物取引業者がかかわる苦情処理機関に相談することは有益となります。たとえば、各県には、おおむね次のような苦情処理機関、相談機関の支部等があります。

苦情処理機関、相談機関等 内容など
①公益社団法人 全国宅地建物取引業保証協会(ハトのマーク)直系尊属 ・宅地建物取引業法に基づき設立された社団法人です(同法64条の2)
・会員への苦情解決、債務保証等の業務を行っています
・上記は、宅地建物取引業法で求められていることです(同法64条の3)
・全国の宅地建物取引業者のうち8割が加盟しています
・なお、会員は、公益社団法人全国宅地建物取引業協会(ハトのマーク)にも同時に加入しています
②公益社団法人全日本不動産保証協会(うさぎのマーク) ・宅地建物取引業法に基づき設立された社団法人です(同法64条の2)
・会員への苦情解決、債務保証等の業務を行っています
・上記は宅地建物取引業法で求められていることです(同法64条の3)
・ハトのマークに入会していない会員は、概ね、こちらに入会しています
・なお、会員は、公益社団法人全日本不動産協会(うさぎのマーク)にも同時に加入しています。
③県庁の建築管理課など(宅地建物取引業法の所管課) ・宅地建物取引業法違反の指導監督を行なう立場から、苦情相談の申立てを受け付けています
・損害賠償などの民事的な内容への介入はせず、上記の行政上の指導監督に尽きます
④一般財団法人不動産適正取引推進機構 ・裁判外紛争処理(ADR)です
・専門的知識を持つ紛争処理委員が、中立・公正な立場で解決を図ります
・なお、当該推進機構は、宅地建物取引資格試験を実施する機関でもあります
⑤公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター ・国土交通大臣から指定を受けた住宅専門の中立・公正な相談窓口です
・一定の要件を満たす住宅、又はリフォームの見積もり等の専門家相談(建築士、弁護士)を行っています
・弁護士会の住宅紛争審査会の窓口も行っています
⑥弁護士会の住宅紛争審査会 ・住宅の品質確保の推進等に関する法律に基づき、国土交通大臣の指定を受けた裁判外紛争処理機関(ADR)です
・弁護士が、建築士などの協力を得て、あっせん、調停、仲裁を行い、話合いによる紛争解決を目指す制度です
・公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターから、上記のあっせん等の委託を受けています

また、各苦情処理機関で合意できないケースでは、最終的に、民事裁判で決着をつけることになります。そのため、民事裁判を見据えて、弁護士に依頼して、交渉、民事裁判を行うことも重要な方法です。

Q 仲介業者とのトラブルはどのようなものがありますか?

仲介業者は、不動産の売買、賃貸を仲介するところ、不動産の仲介に関するトラブルが発生することがあります。

たとえば、仲介報酬、仲介業者の説明不足、その他仲介業者による不適切な行為によってトラブルが発生することがあります。

仲介業者による報酬ですが、手数料3パーセント(賃貸借の場合は賃料の1か月が上限)となっています。不動産の取引価額は高額であるため、何十万、何百万の報酬になることがあります。
そのため、たとえば、仲介を依頼した依頼者が契約を解除し手数料を支払わないケースや、仲介に関する契約が成立したのかどうか争われるケースなどがあります。

また、建物を購入したところ、買主が仲介業者から聞いていた条件とは異なる場合には、仲介業者の説明義務違反が問題となることがあります。

良い仲介業者を選ぶこと、ご自身でも不動産について知識を持つこと、そして、事前の段階でも、不動産に詳しい中立的な専門家や弁護士等にご相談することが大切です。