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遺言、遺言書|遺産相続

弁護士がまとめた「遺言、遺言書」のQ&Aです。遺産分割の無料相談についても案内中です。

Q 遺言ってなんですか?

遺言とは、亡くなる方の人生最後の意思表示と言われるように、自分が生涯をかけて築き、かつ守ってきた大切な財産を、自分が亡くなった後、誰にどのように残していくかを、文字にしたためたものです。

なぜ、遺言という制度があるのでしょうか?

世間では、遺言がないため、相続を巡り親族間で争いの起こることが少なくありません。今まで仲のよかった家族や親族が、相続を巡って骨肉の争いを起こすことはとても悲しいことです。

遺言は、このような家族間の悲劇を防止・予防するため、遺言者自らが、自分の残した財産の行き先を決定し、相続を巡る争いを防止しようということに主な目的があります。

Q 遺言は誰が作成しても有効なのですか?

遺言は誰が作成しても有効というわけではありません。

遺言は亡くなる方の最後の意思表示と言われています。そのことからすると、自分の考えや思っていることを外部に表し示すことができる人が作成した遺言のみが有効な遺言といえます。

民法上は、満15歳をもって遺言することができる能力が備わっていると規定されています。よって、原則15歳以上の方であれば、自分ひとりで遺言を作成でき、かつ作成された遺言の形式が整っていれば、有効になります。

もっとも、遺言にはいろいろな種類があり、一人で作成できるのは自筆証書遺言のみになります。

Q 遺言には、どんな種類がありますか?

遺言には、いくつかの種類があります。

民法が定める遺言の方式として、普通の方式で用いられる遺言が3種類あり、普通の方式で用いることができない遺言が4種類あります。

後者は、普通の方式で用いることができない場合や困難な場合に用いられます。通常よく使用される普通方式の3種類を以下にまとめてみました。

遺言の方式
種類 特徴
自筆証書遺言 ・遺言書を自分で作成(全文・日付・氏名を自書・押印)
・証人不要
公正証書遺言 ・遺言書の紛失や変造の防止が趣旨
・証人2人以上の立会いの下、公証人に遺言の趣旨を原則として口頭で伝える
秘密証書遺言 ・生前は、内容を秘密にしておきたい場合に利用
・公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨等を申述

Q 遺言書が複数発見された場合はそれぞれの遺言の効力はどうなるのですか?

遺言書が複数見つかるということは、比較的多くあることで、珍しい事ではありません。遺言は生きているうちに書くので、作成後に気持ちが変わるということがあります。そのため、複数の遺言書がみつかったということは往々にしてあるのです。

遺言書が複数発見された場合には、遺言書の作成日付が一番新しいものが優先されます。亡くなった方の最終的な意思は、一番新しい遺言書に記載されている内容と考えられるからです。
優先関係は日付であり、公正証書遺言か、自筆証書遺言かというような形式面ではありません。

Q 遺言作成後、撤回することはできますか?

一度作った遺言書でも、遺言者が生きている間は、いつでも遺言の全部または一部を撤回したり変更することができます。

自筆証書遺言の場合は、遺言書を破棄すれば、それだけで遺言は撤回できます。または、新たに遺言書を作成し、「平成○年○月○日にした遺言の全部(または○○○の部分)を撤回する」と書けば撤回できます。

公正証書の場合は、原本は公証役場に保管されていて破棄することができませんので、この場合は、遺言を撤回する旨または変更した遺言書を作成しておくことで、撤回することが可能になります。

Q 遺言書の保管はどうすればよいのですか?

遺言書でもっとも気を使うのは、保管と言っても過言ではありません。大切にしまいすぎていて、いつまでも発見されないということもよく耳にします。適当に発見されにくく、遺言者の死後は容易に発見されるという場所が保管場所として妥当であると思われます。

一般には、配偶者、その他の相続人が保管しているケースが一番多いようです。また、弁護士に預けるという例もあります。さらに、最近では、銀行の貸金庫を利用することも増えているようです。
ただ、この場合、どこの金庫に保管しているか分からなくならないように、相続人の誰かに教えたり、メモをどこかに残したりする必要があります。

公正証書遺言の場合は、原本が公正証書役場に保管され、遺言者には正本及び謄本が交付されます。この正本や謄本は遺言執行者や受遺者などに保管させることが多いようです。