「被害届の提出」に関するQ&Aを弁護士がまとめました。
Q 被害届とは?
犯人が不明でも届出ができます。警察は、被害届の提出によって犯罪を知り、捜査を開始します。
Q 被害届と告訴とは違いがありますか?
被害届と異なり、告訴の場合には、「犯人を処罰してほしい」という意思表示を含みます。そこで、告訴を受けた捜査機関には、捜査義務が生じます。それに対して、被害届の場合には、捜査義務は生じません。
また、被害届は、被害者以外の人も届出ができるのに対し、告訴の場合には、被害者やその法定代理人などに限られます。
Q 被害届の出し方を教えて下さい。
このように、被害届は、ご自身で犯罪の被害を申告することができるスピーディーかつ簡単な方法です。
但し、犯罪が成立するかどうか判断に迷うような場合もあると思います。そのような時には、弁護士に相談してみましょう。
また、本来は被害届の不受理は許されませんが、実際には、受理してもらえない場合もあります。そこで、ご自身で被害届を提出しようと警察に行ったが、警察が被害届を受理してくれない場合、弁護士に依頼すれば、被害届が受理されるようサポートを受けることができます。
Q 被害届を提出したのに、警察が捜査してくれません。
被害届の場合、告訴と異なり、捜査を行うかどうかは警察の裁量となっています。したがって、被害届を提出しても、残念ながら警察が捜査しないことがあります。
犯人を処罰してほしい気持ちが強い場合には、被害届ではなく告訴を検討してみるのがよいと思います。告訴を受けた捜査機関には、捜査義務が生じるからです。
Q 被害届を提出したのに、警察が犯人を逮捕してくれません。
被害届が提出されたとしても、必ずしも逮捕されるわけではありません。逃亡するおそれ、証拠隠滅のおそれなどがない場合には、逮捕の要件を欠くため、被害届の有無にかかわらず逮捕されないのです。
但し、逮捕されず在宅でも、捜査はされますし、検察官の判断により、起訴され裁判になることもあります。
Q 被害届を提出してあったところ、犯人から示談の申入れがありました。
示談すると、示談金を受け取ることができ、一定程度被害回復ができますし、早期に問題解決が可能です。反面、示談すると、犯人の処罰は軽くなります。
但し、犯人の処罰を望み示談を拒否したからといって、犯人が初犯であったり比較的軽微な事件であれば、処罰されない可能性もあります。基本的には、示談は検討した方がよいでしょう。
犯人から示談の申入れがあった場合には、示談するべきかどうか、示談するとして示談金はどのくらいが適切かなど、検討する必要があります。また、「犯人を許す」「処罰を望まない」などの内容での示談まで応じるべきかも、悩むところです。
いったん示談すると、後から覆すことは困難です。また、犯人には弁護士がついていることが多く、弁護士と交渉するのが心配な方もいるでしょう。示談について迷っている場合には、弁護士を依頼すれば、適切な内容で示談することができます。