犯罪被害者への「損害賠償命令」に関するQ&Aを弁護士がまとめました。
Q 損害賠償命令制度とは?
原則として4回以内の審理で結論が出ること、刑事裁判の成果を利用できることなどから、通常の民事裁判よりも簡易かつスピーディーに解決が可能です。
損害賠償請求は民事裁判です。民事裁判の場合、刑事裁判とは異なる裁判所が扱うのが通常です。しかし、損害賠償請求の場合、被害者の負担軽減の観点から、刑事裁判を行った裁判所と同じ裁判所が損害賠償の審理を行うことができます。このように損害賠償命令制度は、刑事裁判の成果を利用して、簡易かつスピーディーに解決することを目指した特別な制度です。
損害賠償命令制度の対象事件は、被害者参加制度の対象事件と重なりますが、過失犯については除かれています。したがって、ほとんどの交通事故の事案は除かれます。
Q 損害賠償命令制度の手続きについて教えて下さい。
刑事裁判の記録は、損害賠償命令の審理において証拠とされます。つまり、刑事裁判の証拠や、証人尋問、被告人質問などについて、損害賠償命令の審理においてそのまま利用できるのです。新たに民事裁判を起こすのと比べると、被害者の立証の負担が軽減されます。
また、原則として4回以内の審理で決定が出されます。そこで、簡易かつスピーディーな解決が可能となりえます。決定は、「確定判決と同一の効力」を持ちます。すなわち、決定どおりに支払がなされない時に、強制執行を行うことができます。
なお、損害賠償命令の審理において和解も可能で、和解調書も、確定判決と同一の効力を持ちます。
一方、決定に対して異議申立てがあった場合には、通常の民事裁判の手続に移行します。
損害賠償命令制度を利用したいがご自身では不安があるという方は、弁護士をたてれば、簡易かつスピーディーに被害回復できる可能性が高まります。ぜひご相談下さい。
Q 弁護士を依頼したいのですが、お金がありません。
Q 刑事和解とはなんですか?
つまり、示談どおりに支払がなされない時に、強制執行が可能となります。民事裁判を行わずに簡易かつスピーディーな被害回復を目指す点で、損害賠償命令制度と共通しますが、刑事和解は、一定の犯罪に限定されていません。