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任意整理|借金・債務整理

弁護士がまとめた「任意整理」のQ&Aです。

Q 任意整理とは何ですか?

任意整理とは、貸金業者と交渉し、①借金の減額、②毎月の返済額の減額、③今後の支払利息をカット等することを言います。

一番大きい任意整理の必要性は、利息制限法の制限利率(18パーセント等)で再計算し、強制的に借金を減額させることです。

過払い金のところで説明したように、貸金業者との約定利率は29.2パーセントなど、利息制限法の定める利息(18パーセント等)と大きく離れています。

利息制限法で認められる上限の利率は次のとおりです。

借入金の元本 制限利率
10万円未満 年利20パーセント以内
10万円~100万円未満 年利18パーセント以内
100万円以上 年利15パーセント以内


たとえば、元本が10万円以上100万円未満の場合には、左図のようになります。
約定利率が29.2パーセントであれば、制限利率18パーセントとの差11.2パーセントの利息(グレー色)が払い過ぎとなります。

利息10パーセント前後の差は大きく、何年も借入取引を行なってきた場合には、当初から利率18パーセントで計算しなおすと、かなり借金が減額できる場合があります。

たとえば、消費者金融から73万円を借り、毎月2万円の返済の返済をしたケースを見てみます。
約定利率29パーセント、制限利率18パーセントの場合の残元利金(元金+利息)の数値をグラフにすると、次のようになります。横軸の単位は、月数になります。

系列1(グレー色):利率29パーセントの元利金(元本+利息)の減少
系列2(水色):利率18パーセントの元利金(元本+利息)の減少

任意整理は、たとえば、下図のように、41か月のところで、約60万円の債務から約20万円の債務に減額することです。
ちなみに、過払い金は、たとえば、図の89か月のところで、債務0から約77万円の返還請求権に変わることです。

任意整理も過払い金も、仕組みは同じで、金額の程度が違うだけです(債務の減少になるか、返還請求までできるかどうかの違いです。)。

また、任意整理をすることで、毎月の支払額を無理のない金額にしてもらい、又、任意整理後に利息がかからないよう(0パーセント又は低利)に合意することも大きな必要性です。
これによって、毎月末、借金の返済に悩むことなく、無理なく借金を返済していくことが可能となります。

Q 貸金業者は、なぜ任意整理に応じるのですか?

貸金業者が任意整理に応じる理由は、おおむね次のとおりです。
まず、利息制限法の利息に計算しなおす点ですが、裁判になった場合、利息制限法の利息に計算しなおされるからです。

次に、毎月の支払額の減額や将来利息のカット等に応じる理由ですが、その一番の理由は、破産手続の存在にあります。
つまり、債務者が、破産手続を選択した場合よりも、任意整理を選択した場合の方が、消費者金融は債権を回収できるからです。

Q 破産と任意整理の違いは?

破産手続と任意整理の違いは次のようになります。
破産手続は、破産裁判所が関与する法的手続です。また、原則として全ての借金が免除されます。

他方、任意整理は、当事者(債務者と消費者金融)の間での話合い(示談)によって解決する手続です。つまり、借金の減額、利息の免除等、債務者が無理なく借金を完済できるように調整する手続きです。そのため、借金が全額免除される訳ではありません。

破産手続と任意整理では、具体的には次のような違いが出てきます。任意整理と破産手続は、選択できるので、参考にしてください。

破産手続ですが、法的手続で、かつ、原則全ての借金を免除しますので、任意整理と比べて厳格な手続になります。たとえば、

①財産関係、破産に至る経緯等を全て開示する必要があります。
②破産したことは官報に掲載され、また、財産管理等に関する資格を失います(ただし、復権の制度があります)
③一定のモラルハザード等がある場合には、借金が免責されないことがあります
④財産関係、経緯、モラルハザード等を調査するために、破産管財人(裁判所選任の弁護士)が選任されることがあります

任意整理ですが、当事者による合意による手続で、かつ、借金の支払い条件を調整するだけのものです。
また、全ての債務ではなく、どの債務を任意整理の対象にするかは選択できます。このため、破産手続ほど厳格な手続ではなく、消費者金融の求めに左右されます。たとえば、

①財産関係の開示を求められますが、消費者金融の方で既に把握済みであることが多く、資料等をまとめたり経緯を開示することはあまりありません。
②当事者同士の話合いですので、公になることはなく(ただし、民間の金融機関のブラックリストには乗ることがあります)、また、資格制限はありません。
③借金の支払い条件等の変更に留まるため、一定のモラルハザード等があっても、合意できることが多いです。モラルハザード等よりも、借金を返済できる収入等の見込みの方が重要となります。
④破産管財人が選任されることはありませんが、弁護士等に依頼しなければ任意整理ができないことが通常です。弁護士等は、弁護士倫理に服しますので、嘘等を消費者金融に伝えることはできません。

弁護士に相談・依頼すれば、弁護士が、ご本人様の個別・具体的なご事情に基づいて、任意整理、破産手続等の選択のアドバイス、及び、実際の手続に尽力いたします。是非、お気軽に弊所までご予約のお電話をください。

Q どのような場合に、任意整理する「必要性」がありますか?

「任意整理」をされるのは初めてであることが多いと思います。そのため、任意整理をするかどうかの必要性については判断しづらいと思います。そのため、次のような点を参考にして判断されたらいかがでしょうか。

①消費者金融の金利が、利息制限法の利息(年18パーセント等)より高い利率
②毎月の借金の支払いに苦労している、又は、借金がなかなか減らない
③近い将来、収入がなくなる、又は減る予定がある

以下、具体的に説明します。
まず、①利息制限法の金利よりも高い場合、本来支払う必要性のない借金を支払うことになっていますので、任意整理によって本来の借金額にすべきです。こちら側が主張しなければ、通常、消費者金融の側から減額を提案されることはありません。

たとえば、電気代等を支払い過ぎた場合等に、電力会社から過払い分の返還の連絡がくることがありますが、消費者金融に対し、そのようなことを期待できず、こちら側から積極的に対応していく必要があります。

②毎月の支払に苦労している場合、消費者金融以外の借金もあると思いますが、まずどうにかすべきは消費者金融からの借金になります。
今でも消費者金融の金利は年18パーセント等のところが多いですが、年18パーセントの金利は負担が大きいからです。
特に、生活等が苦しくてお金を借りた方が、元金の返済に加えて、18パーセント等もの金利を支払うのはとても難しいことです。

③近い将来収入が減るのであれば、借金の返済も困難になりますが、一番困るのは今後の生活ができなくなる恐れがあることです。
早めに債務整理(場合により破産手続)を行うことで、現在確保できる収入は今後の生活のために使うことができます。借金を返すことよりも、ご本人様が生きていけることの方が遥かに重要です。

弁護士に相談することで、弁護士がご本人様の個別・具体的なご事情にもとづき、任意整理の必要性についてより的確にアドバイスすることが可能です。是非、お気軽に、弊所までご予約のお電話をください。

Q 18パーセントの金利の借入がどのぐらい負担になるか分かりません。

たとえば、次の事例で、18パーセントの金利負担についてイメージされると良いと思います。借金が100万円前後に達すれば、安定したやや高めの収入がない限り、任意整理、自己破産を視野に入れる必要があります。

< 架空事例 >
Aは、平成24年1月28日、T消費者金融から99万円を借りました(利息は18パーセント)。
Aの給料は、手取り16万円で、毎月の支出が14万円であるため、毎月2万円を返済した。

たとえば、次のような形で返済がなされていきます。

(途中の経過を省略します)

※計算ソフトは、名古屋消費者信用問題研究会が作成された過払い金の計算ソフトを使用しています。サイト:http://www.kabarai.net/index.html

借金の完済は平成31年9月28日になります。つまり、平成24年2月28日の初回返済日から、7年7か月かかります。
また、7年7か月の支払利息の合計額は、76万9004円になります。
したがって、Aは、99万円を借りたことにより、最終的に元利金175万9004円(約1.78倍)を支払うことになります。

生活が苦しい中で借りた訳ですから、利子76万9004円の負担は、かなり生活に追い打ちをかけるようなものになります。

Q どのような場合に、任意整理が「可能」ですか?

一般的には、任意整理を開始する前までの借金が3年以内に返済可能である場合に任意整理が可能です。

たとえば、仮に借金が72万円あったとします。任意整理で、将来利息をカットした元金72万円が対象であれば、毎月2万円の支払いで3年後に返済できます。
そこで、このケースでは、毎月2万円を3年間にわたって支払うことができれば、任意整理が可能と判断できます。

安定した収入(収入が高くなくとも)があるかどうかは、任意整理では大きな要素になります。任意整理をした場合、毎月の支払額や将来利息は減りますが、それでも毎月の返済を継続しなければならないからです。

仮に、弁護士等に依頼して、消費者金融に任意整理に応じてもらっても、途中で返済しなければ遅延損害金がかかり、任意整理の効果がなくなります。このような場合、弁護士費用を支払った分だけ損になることもあります。

3年間の継続的な支払は大変なこともあります。弊所では、個別・具体的にご依頼者様の収入や生活状況をお聞きして、合理的な計画に基づく任意整理が実現できるよう尽力いたしますので、お気軽にご予約のお電話をください。

なお、連帯保証人がいる場合には、利息制限法の利息(18パーセント等)に引き直して借金を減額することは可能ですが、毎月の返済額の減額や支払い猶予等に応じてもらうのは難しくなります。
消費者金融としては、任意整理に応じるよりも、連帯保証人に請求する方を選択することが多いからです。